「枕草子」にみる平安時代の美意識と季節感
はじめに
「枕草子」は、平安時代初期の女流作家・清少納言によって書かれた随筆であり、当時の生活や風俗、美意識が描かれた貴重な史料となっています。本稿では、「枕草子」の中で描かれている美意識と季節感について、具体的な箇所を取り上げながら解説していきます。
美意識の表現
「枕草子」には、当時の貴族文化に基づく美意識が表現されています。例えば、「むかし、天皇の御幸には、秋の山の色、春の花の名、夏の涼しさ、冬の寒さ、など、景色のあるところに行かせて、その様子をみて楽しんでおられたそうである。」という箇所では、季節感とともに、風景を楽しむことが美意識として重要であったことが伺えます。
また、「かの女のうつろひも、ちがひながら、よくよくよそへも、なにはか引け行かんにぞありける」という箇所では、女性のうつろいが美しいとされ、その表情や仕草が詳細に描かれています。このような表現は、当時の貴族社会において、女性の美しさが重んじられていたことを示しています。
季節感の表現
「枕草子」は、季節感に溢れた作品であり、その中には、季節ごとの風物詩が描かれています。例えば、「あけましての御祝ひには、かきくわふたえびすの御縁日、そめやらす、ののくさのことばひ、おちそうさまなどがあり」という箇所では、正月の行事や季節の花々が紹介されています。
また、「みかの原わきて流るるいづみ川いつみきとてか恋しかるらむ」という有名な歌も、「枕草子」に登場する箇所です。この歌は、春の季節を彷彿とさせる恋歌であり、季節感の表現に優れた一節です。
おわりに
「枕草子」には、当時の貴族 文化や美意識、季節感が詳細に描かれており、平安時代の生活や風俗を知るうえで貴重な資料となっています。本稿では、美意識や季節感の表現に焦点を当て、具体的な箇所を取り上げて解説しました。今後も、「枕草子」にはまだまだ多くの魅力があるため、今後も研究や解説が重要であると考えられます。