ファミコンのコントローラーはなぜ「十字キー」を採用したのか?
1983年に発売された任天堂のゲーム機、ファミリーコンピューター(通称ファミコン)のコントローラーには、今やなくてはならない存在となった「十字キー」が採用されています。しかし、当時はまだ一般的ではなかったこの形状の十字キーが選ばれた理由には、どのような背景があったのでしょうか?
パッド型コントローラーが主流だった当時
1980年代初頭、ゲーム機のコントローラーといえば、パッド型コントローラーが主流でした。この形状は、手の平にフィットするような丸みを帯びたもので、タブレット型のデバイスのような外観でした。しかしながら、パッド型コントローラーは、繊細な操作が求められるゲームには不向きであるとされていました。
十字キーが採用された理由
ファミコンのコントローラーに十字キーが採用された理由としては、以下のようなものが挙げられます。
- スペースの節約:パッド型コントローラーは、押しボタンやスティックが多数配置されていたため、大きなスペースを必要としていました。一方、十字キーはスペースを節約できるため、小型のコントローラーにも対応できました。
- 操作性の向上:パッド型コントローラーは、タッチペンのように、筆圧で操作することができました。しかし、筆圧の操作は精度が低く、疲れやすかったため、細かな操作が求められるゲームには向きませんでした。一方、十字キーは、上下左右の移動が簡単に行えるため、細かな操作にも向いていました。
まとめ
ファミコンのコントローラーに採用された「十字キー」は、当時のゲーム市場において画期的なものでした。その後、多くのゲーム機に十字キーが採用され、今では当たり前の存在となっています。しかし、当時の技術的な制限を乗り越え、新しい操作性をもたらしたこのデザインは 、ゲームデザインや操作性に大きな影響を与えたと言えます。また、今でも多くのゲームで使われ続けていることから、その普遍性を示しています。
ちなみに、十字キーという名称は、当時の開発者が、その形状が「十字架に似ている」と思いついたことから付けられたと言われています。この独創的な名称も、ファミコンのコントローラーのオリジナリティを象徴しています。